君の声が好き。
“和”ってその優しい声で呼ばれるだけで、溶けてしまいそうになる。
君の笑顔が好き。
目を細めて、八重歯を子供のように出して笑うその顔を見るだけで、愛しくて苦しくなる。
君の全てが好き。
俺は狂おしいほど君を求めてる。
ねぇ、ずっと傍にいてくれますよね?
――――ずっと、ずっと・・・
痕跡 第11話【胸騒ぎ】
昨日1日、はどこかおかしかった。
初めは、急に記憶を取り戻したから戸惑っているのかと思っていた。
でも、それは違った。
を心の中で泣かせている原因は、が“秘密”といったモノらしい。
それが何かは解らない。
でも、物凄く嫌な胸騒ぎがするんだ。
確かに俺の左手からはの温もりが感じられるのだけど、まるであのが倒れた悪夢の始まりの日のような胸騒ぎが。
「昨日はありがとうね。すっごい楽しかった。」
「いえいえ。の為ならいつでもお供しますよ。」
俺たちは病院の中へ入っていった。
時計を見ると鳩が8時を告げていた。
が記憶を取り戻してから1日が経とうとしている。
「さ、」
「ん?」
「昨日、俺に秘密があるって言いましたよね?」
「・・・うん。」
「そろそろ聞いちゃ駄目ですか?」
「・・・あのね、私もう、」
“ドサッ”
え?
「!!!!!」
は急に視界から消え、次の瞬間には俺の足元に力無く倒れていた。
「!!!!」
俺の頭の中は真っ白になった。
何で?
何で?
倒れたのが病院の中であったのが不幸中の幸いで、はすぐに運ばれていった。
病院の先生が言うには、治りかけていたはずの病気が再発し、異様なほどのスピードでの体を蝕んでいるらしい。
(俺のせいだ。)
昨日、が“デートしよう”なんて言ったときに止めておけば・・・
もうちょっとの我慢だからって、
今が一番大事なときだからって、
俺は体中の震えが止まらなかった。
ベットに横たわっているの姿が、先生に“覚悟を決めてください”と言われた時とあまりにも似ていたから。
「っ!!」
おばさんが血相を変え、病室に入っていた。
「おばさん、すいませんでした。俺がもっとしっかり止めていれば・・・」
「和也君のせいじゃないわ。を止めなかったのは私も同じよ。」
おばさんは俺に無理やり笑顔を作って言った。
俺はの手を取って、しっかりと握り締めた。
「ごめん、」
「・・・っ・・・?」
「え??!!」
俺がしっかりと握り締めた手は微かに握り返された。
また、あの日のように。
「!!」
「和・・・?お母さん・・・?」
は薄っすらと目をあけた。
「!!大丈夫!?」
「う、うん・・・」
大丈夫な訳が無いのに、はゆるりと微笑んだ。
「ごめん、俺がちゃんとしっかり止めてれば・・・」
「和のせいじゃないの。私が自分で望んだことなの。」
「え?」
「あのね、」
はゆっくりと話し始めた。
お願いだから、お願いだから、ずっと傍にいてよ・・・
あの優しい声で、あの子供みたいな笑顔で、呼んでよ。
俺の事。
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4ヶ月ぶりの更新。
なんかすいません;;
しかも、相変わらず短い(笑)
wrote : 2006.9.24
UP : 2007.3.4