ねぇ、あなたは誰なの?

なんでそんなに優しくしてくれるの?
なんでそんなに大事にしてくれるの?

ねぇ、誰か、誰か教えて?

































 痕跡 第7話【涙の成分】





















































前まで生死を彷徨っていた事、家族の事、友達の事、自分が誰かのかも、どうやって生きてきたのかも覚えている。
しっかりと。
なのに、なのに何であの人の事だけ、何も解らないのだろう?
いつもそばにいてくれて、凄く安心する。
何も解らないのに、全てを包んでくれるような優しさ。
この得体の知れない感覚は何?
心では感じている。
あの人のいない私の記憶はどこかに穴が開いてしまっているかのよう。


あなたは誰?
あなたと私はどんな風に同じ時を刻んできたの?

だた、それが知りたい。






















和也さんは私が目を覚ましたときも傍にいて、私が“わからない”と言ってからも毎日会いに来てくれた。
きっと私の言葉に傷ついているに違いなのに。



お母さんが教えてくれた和也さんのこと。
アイドルグループ嵐のメンバーの一人で、ゲームが好きとか、ハリウッドにも進出したすごい俳優だとか、凄く切ない唄を作る人だとか。
そして私の彼氏だとか。


そんな凄い人が自分の彼氏だなんて信じられなかった。

初めはみんなの冗談だと思ったけど、テレビに出ている和也さんを見たり、毎日優しく語りかけてくれる和也さんを見ていると冗談なんかじゃないと解った。
今では、なんだか怖い。

どうやっても思い出せない。
和也さんに思い出の物とかを見せてもらっても、その度に頭が締め付けられるように痛くなって、何も思い出せない。
これからも一生思い出せなかったら・・・
そう思うと、凄く怖い。






「和也さん・・・」
「ん?何?」


今日も忙しい仕事を終えて、疲れているはずの和也さんは私に会いに来てくれていた。


「何で和也さんは私のためにそんなに無理してくれるんですか?私、何も思い出せないのに・・・」
「そんなの好きだからに決まってるでしょ。」


和也さんは迷うことなく、サラリと言った。


「和也さん・・・」
に記憶がなくなったからって嫌いになる位の中途半端な気持ちなら付き合ったりしてませんから。」
「でも・・・私何も思い出せないんです・・・。思い出そうとしても、どうやったら思い出せるのかも分からないし・・・」


自然と私の目からは涙が流れていて白いシーツの上にポタリと斑点を作った。
涙の成分はきっと“申し訳なさ”と“やるせなさ”。


「焦らなくていいから。もし思い出せなくても、新しい思い出作ったらいいじゃん?過去に負けないくらいたくさん。だから今は体を大事にしてくださいね?」


和也さんはそう言って私の涙を拭き、そっと抱きしめ、優しく頭を撫でてくれた。
その感覚が凄く懐かしく、そして暖かくって、涙が止まることはなかった。











































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久しぶりの更新。
もう季節感もあったもんじゃありませんね。
このままでは最終話の夏が冬にUPされる可能性大ですね!!!
ホントすみません・・・;



wrote : 2006.6.25
UP : 2006.9.3