なんだか長い間忘れていたような、そんな感覚。
あなたの腕の中で確かに感じたの。

嬉しさ、暖かさ、幸福さ、楽しさ、切なさ。

そして


―――愛しさ。


































 痕跡 第8話【溢れてく】





















































私は和也さんの腕に包まれたまま深い眠りについたようで、気がつくと私は真っ白な世界にいた。


これは夢・・・?

























ここはいったい何処なんだろう。
何処を見渡しても何もない。
恐怖を感じるくらいの、無。
だたひたすらに白い世界が私を取り巻いていた。


しばらくすると、1人の男の人の後姿がぼんやりと、そして鮮明に見えてきた。

あの独特の哀愁漂う猫背。
もしかして・・?


「和也さん・・・?」


私はその人に近づこうと足を進めたが、男の人との距離はまったく変わらなかった。

その時、何処からか聞いたことのない男の人の声が聞こえてきた。


“記憶がほしいか”

「・・・記憶?」


私は目の前の男の人の後姿をじっと見つめた。
私と和也さんの記憶の事?
それならば欲しいに決まってる。


「・・・欲しいです。」

“自分が元の体に戻ってもか?”

「元の体?」

“生死を彷徨う体”


自分の命を取るか、和也さんとの記憶を取るか。
私は唯の夢を見ているだけなのに、鼓動が速くなるのを感じた。



ドクドクドク、、、



「はい、いいです。記憶を私に返してください。」


私はそう答えた。
もし、自分の命を取ったら私はこのまま元気になれるかもしれない。

でも・・・

でも私は、和也さんの事を思い出せないまま生きていくなんて出来ない。
あんなに私の事を思ってくれているのに、私は何も思い出せないなんて耐えられない。
たとえこれがただの夢であっても、こう願う事で何か思い出せるかもしれない。


“承知した”

「あの!!もし、私が記憶を取り戻しても1日だけ、1日だけ猶予をいただけませんか?元気でいられる日を1日だけ下さい。」


再びあの声がした時、私は必死でそう言った。
しかし謎の男の人から返事はないまま、私は闇に落とされたように真っ暗な世界に入っていった。




あれが無言の了解でありますように・・・






































しばらくして目を覚ますと、私はまだ和也さんに抱かれたままだった。
ちらりと横を見ると和也さんは私を抱いたまま寝ていたようで、私が動いたのに反応し、少し唸って目を開けた。


・・・和也さん?

違う。

私はそんな風に呼んではなかったはず。




「和っ!!」
「!?」


私は大きな声で叫んだ。
和はそれにびっくりして、目を丸くしている。

私の頭の中に、欠けていた記憶が次々と戻ってくるのが解る。
和との出会いも、和の告白も、初めてもデートも。
そして、2人で語り合った将来のことも。


記憶が溢れてくるのと同時に、目からは涙が頬を伝っていった。









あぁ、やっと思い出せた。
幸せな日々が鮮明に蘇る。
















































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連続UPです。
急展開です。
急げ急げ〜!!



wrote : 2006.6.26
UP : 2006.9.3