窓から入る月光。

ああ、今日は満月なんだ。

































 金










































翔と付き合い始めて半年と10日。
最後に会ったのはちょうど3週間前の夜。
(こんなに細かく覚えている自分に嫌気がさすよ。)




付き合い始めたころは1分でも2分でも、どんなに忙しくても毎日会いに来てくれた。
忙しいのに大変でしょ?っていったら、に会ったら元気になれるからって言ってくれたよね?
でも、最近はどんどん会う機会が減っていった。
一緒に翔の愛も減っちゃたのかな?














会いたい、でも会いたくない。







分かってるから。






次に私たちが会うのは、最後。







“仕事”って言って駅で私の知らない女の子と手を繋いで楽しそうに歩いてたでしょ?
その時の翔はすごい楽しそうだった。
怒りとか、嫉妬とか、悲しみだとか、そんなものはもう何も沸いてこなかった。
ただ見ていることしかできなかった。
















そろそろなんだよね。
今日で決着を付けるつもり。




































カッカッカッ......


















マンションの階段を上ってくる音。
















私と翔のエンドロールが始まる。














ガチャッ
















来た。
最後の時が。


















「お帰り、翔。」
「ただいま。」







なんでそんなに辛そうに笑うの?

翔は優しすぎるんだよね。






「久しぶりだね。」
「ごめん。最近忙しくてさ・・・」




うそ。
あんなに楽しそうにしてたじゃない。
半年前の私たちみたいに。














「翔。」
「ん?」
「言っていいよ。」
「え?」
「言いに来たんでしょ?さよならって。」
・・・」




翔の前に行き、真っ直ぐな綺麗な瞳を見つめる。

最後だから目に焼き付けておきたいの。
大好きな翔を。
翔の全てを。








「ごめんな・・・」
「いいよ、分かってたから。」





私、今、笑ってる?
ちゃんと笑えてる?





「ホントごめん。」
「いいって。彼女待ってるんでしょ?早く行ってあげて。1人は寂しいから。」
「えっ・・・・・・知ってたの・・・?」
「駅で手繋いで歩いてたでしょ?みちゃった。」





そんな悲しそうな顔しないで。
振られる私が笑ってて、振るあなたが泣きそうなのはおかしいでしょ?

これが私の最後の意地悪だから。
ごめんね、可愛くない女で。











「ごめん。」










そう言って翔はドアの方へ歩いて行く。

この背中を見るのも最後。









「翔。」
「ん?」
「最後に1つ、言ってもいい?」
「何?」




「ありがとう。」




・・・」
「翔に会えてよかった。迷惑かもしれないけど、ずっと大好きだから。」
「うん。」






















ああ、最後まで笑顔でいたかったのに。

翔の目に映った最後の私には、月光に照らされた一筋の涙があった。









黄色い光に照らされた涙は、そう。













  ――――――金の雫。



























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翔君の慈悲ドリ。
“金の雫”って題を使いたくて書いた話でもあります(笑)



wrote : 2006.1.12
UP : 2006.3.7