4月。
進級とともにクラスに新しい仲間が増えた。
彼女の名前は
綺麗な茶色がかった髪を胸の辺りまで伸ばした、小柄な女の子だった。


「じゃぁ席は櫻井の隣だ。櫻井、頼んだぞ。」
「はーい。」


はパタパタと新しいスリッパの音を立てながら俺の隣まで来ると、『よろしく』っと微笑んだ。

その微笑みは一瞬にして俺を打ち落とした。






















線香




















































7月。
が転校してきてからたった4ヶ月ほどしかたっていないというのに、俺たちは産まれる前から一緒にいたように仲良くなっていた。


「おっはよっ!!」
「いって・・・朝から元気だな。」


俺はが勢いよく叩いた背中を擦った。

とは家が同じ方向というのもあって、行き帰りが一緒になることが多かった。
(実は結構頑張って合わせてたりするんだけど・・・)


「櫻井がテンション低すぎるんだよ。」


そう言って俺の隣を歩くはいつもどこか嬉しそうだった。
(本当は俺が嬉しいんだけど。)


「そうそう、今度と花火するんだぁ。」
「そっ。よかったね。」
「櫻井も来ない?」
「俺?」
「相葉連れてきてほしいんだよね。」


一瞬期待したけど、結局そういう事ですか。


に連れて来いって言われたんだろ。」
「うん!!」


は相葉が大好きだ。
でも相葉は・・・・俺の恋敵。


「じゃぁよろしくねぇ〜」


はそう言いながら隣のクラスへ入っていった。
(きっとに知らせに行くんだろう)

俺は自分の教室に入り、仕方なく相葉の席へ歩み寄った。





「相葉ぁ〜」
「ん?なに??」
「今度花火行こ。」
「え゛〜!!櫻井と2人きりでぇ〜??」
「2人きりじゃねぇし!!まぁ嫌ならいいんだけど。
も来るんだけどなぁ〜」
「いくいく!!行かせていただきます!!」
「じゃぁ来週の日曜の7時に学校の隣の公園な。」
「OK☆あーの私服だぜ?!可愛いだろうなぁ〜」


そうか。
相葉はの私服見たことないのか。
何度もみたことある俺からすればかなりの優越感。
でも、顔に出したら一貫の終わりだ。
俺がのことを好きだと言う事を、相葉は知らないから・・・


「そーですね。」
「わっ!!櫻井さんそっけないですね!!アナタは“い○とも”を見に来てるお客さんですか!?」
「そーですね。」


アハハハと笑っておいたが、相葉がとくっつくチャンスが増えてしまうことは俺にとってとてもじゃないが笑えない。
かといって、このままの状況が続くのは良い事じゃない。

とりあえず俺は自分の席に戻り、今日当たるであろう英語の予習を始めた。






























日曜日。
まだ7月なのにこの暑さ。
8月になったら俺たち死ぬかもな、なんて相葉と他愛もない話をしてを待つ。




「やっほ〜♪♪」
「あ、来た来た。」


たちが向こうから大きく手を振ってやって来た。


「雅紀!!」
!!」
「「!?」」


いつも苗字で呼び合っているはずの2人が、お互いの名前を呼び、熱い抱擁を交わしていた。


「あれ??相葉と・・・?!」
「相葉、もしかしてお前・・・」
「「実は2週間前から付き合ってまーすw」」
「「ええ゛!!??」」


まさかあの2人が・・・
って、相葉はのこと好きなんじゃなかったっけ?!


「おい!!相葉!!」


俺が相葉に声をかけると、相葉は話の内容を悟ったらしく、耳元でそっと囁いた。


「今度は櫻井がのこと名前で呼んでやれよ。」
「な、なんで知ってんだよ!?」
「見てたら誰だってわかるよ。」


相葉はひゃっひゃっひゃと笑っての方へ歩いていった。
(俺って相葉にバレルほどわかりやすい?!)





「じゃ、私たち向こうで2人で花火してくるねw」


そういって相葉とは仲良く手を繋いで暗闇に消えていった。



取り残された俺とは唖然とするしかなかった。
(相葉のヤツ、うそ吐きやがったな・・・)



「仕方ないね。折角だし2人でしますか!!」
「・・・」
「櫻井?」
「あ、うん。やろうやろう!!」


俺がそういうとはニコッと笑い、ハイっと花火を渡してくれた。


「発射よーい!!」
「おいっ!!危ないって!!こっち向けんな!!」
「あははは」


まぁ花火は2人でも十分楽しめるわけだし、(いや、2人の方が楽しめる!!)相葉たちには感謝。







俺たちは花火を続けた。
その間、話が絶えることはなかった。







「あーこれで全部終わったな。」
「まだあるよ。ホラ。」


の手には線香花火。
俺的に一番ロマンティックな花火だ。

俺たちは火をつけて、さっきとは対照的に静かにその控えめな炎を見つめていた。




“今度は櫻井がのこと名前で呼んでやれよ。”




相葉の言葉がふと脳裏を掠めた。
(今ってチャンス?)

瞬きをするのも忘れて花火に見入っているの横顔をチラッと横目で見た。
するとが目をキラキラ輝かせてこっちを向いたので、慌てて自分の花火に視線を落とした。


「線香花火って最後まで火が落ちなかったら願い事が叶うんだよね?」
「あー昔オヤジが言ってたなぁ。」
「じゃぁ願い事しよっと♪」


そう言っては新しい線香花火を取り出した。


「じゃぁ俺も。」


俺たちは子供みたいに(まだ子供だけど。)両手を合わせて、線香花火に願いをかけた。


が俺のこと好きになってくれますように。)


「櫻井、何お願いした?」
「秘密。」
「えー。ケチ。」
「ケチで結構。は?」
「秘密。」
「ケチ。(笑)」
「ケチで結構!!!(笑)火つけるよ〜。」


2人同時に火をつけると、初めは控えめに、そしてだんだん少し激し目に火花を散らした。


「ねぇねぇ、何お願いしたの?」
「言ったら叶わなくなるから言わねぇよ。」
「じゃぁ途中で落ちたら教えてね。」


ふふふっと笑うは、ほんのりと炎に照らされて、いつも以上に綺麗だった。


「「あ。」」


に見とれていたら、俺の炎がボタッと地面に落ちた。
のはまだ元気に火花を散らしている。


「あーあ。さぁ約束だよ。何お願いしたの?」


は嬉しそうに俺に詰め寄ってきた。
(どうしよう・・・ってか俺の願いは叶わないのか・・・)


俺がうーっと唸っていたら、の炎も地面に落ちた。


「・・・のも落ちたから言えよ。」


しばらくはうーんっと考えていたがいいよっと恥ずかしそうに笑った。


「じゃぁせーので言おう?」
「いいよ。」

(もうどうにでもなれ。)

「じゃぁ行くよ?」
「「せーの」」


「「が俺の事、好きになってくれますように!!
 櫻井が私の事、好きになってくれますように!!」」




俺たちは顔を見合わせ、大声で笑った。


「これじゃぁ炎が落ちて当然だったね。もう叶ってた願いだったんだから。」
「あー炎が落ちたときマジで凹んだのに(笑)」



俺たちは十分すぎるくらい笑うと、どちらからでもなく手を重ね、寄り添った。




、愛してる。」




街灯に照らし出された2人の影は1つになっていた。



































***** おまけ ****

〜翌日の学校


「なぁ相葉。」
「何?」
「なんでの事好きってうそ吐いてた?と付き合ってたんだろ?」
「えーだって2人ともいつまでたってもくっつかないから〜。それに・・・」
「それに?」
「俺が“可愛い”って言ったときの櫻井の顔、傑作だったよ?」
「・・・!?オメッ・・・!!」
「ひゃっひゃっひゃっひゃ♪」





























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線香花火大好きです。
ってか相葉さんが相葉さんじゃないです。



wrote : 2005.11.5
UP : 2006.7.26