「あのね、わたしね、大きくなったらかわいいおよめさんになるの。」
「じゃぁぼくはかっこいいおむこさんになる!」
あの頃はいつでもそばに居たのに、今は君が離れてしまわないようにするので精一杯なんだ。
ねぇ、君はもう・・・
よ わ む し の あ い
自分の汗ばんだ額に今年初めての夏を感じた。
「雅紀、遅刻しちゃうよ速く速く!!」
俺はひたすらペダルを漕ぐ。
でも2人分の体を乗せた自転車はそう簡単には速く進んでくれない。
「が降りたらもっと速く走れるんだけどなぁ。」
「なにそれ!?私そんなに重くないよ!!」
は俺の腰に腕をまわしたまま頭でゴツンと背中を小突いた。
「じゃぁ彼氏に乗せてってもらえばいいのに。」
「だってアイツ家逆だもん。」
「遠回りしてでも彼女を迎えに来るのが“愛”ってもんでしょ!」
「迷惑かけたくないもーん。」
「幼馴染には迷惑かけてでもいいと思ってんのこの子は!?」
「雅紀だし。」
俺がを後ろに乗せるのは“愛”があるからだって気付いてないでしょ?
の彼氏なんかよりずっと昔から見てきた。
そしてずっと愛してきた。
の隣はいつでも俺の指定席だった。
なのに、
突然現れた男には恋をした。
俺とに時間は有り余るほどあったんだ。
なのに今はその時間が永遠に続くと信じ込んでいた自分を憎むしかできない。
「何?!それ差別じゃん!?」
「いいから速くーっ!!」
2人を乗せた自転車はどんどん進む。
少しスピードを上げると腰に回された手の力も少し強くなり、このまま時間が止まればいいのにと思ってしまう。
いっそこのまま学校なんて行かず、どこか遠くへ行ってしまいたかった。
「・・・さぁ、」
「ん?」
「今、彼氏とうまくいってる?」
「うん!もうラブラブだよ!」
「そっか。」
2人を乗せた自転車は更に進む。
昔から嗅ぎなれたの香りは何時の間にか他の男の匂いに変わっていた。
俺の記憶には濃く染み付いて、今でも色あせずに残っているのに。
「やっぱり明日から彼氏と学校行ったら?」
「えー何で?」
「だって、彼氏になんか言われたりしないの?」
「言われないことないけど・・・」
「ほら。喧嘩になる前にやめないと。」
「ヤダっ!雅紀の後ろじゃないと落ち着かないもん。」
2人を乗せた自転車はより学校に近づく。
そんな事言ったって、は俺のことこれっぽっちも好きじゃないくせに。
でもそう解っていたって心のどこかで喜んでしまってる自分が情けない。
そして今日も学校に着くとは俺の後ろからひょいと飛び降りる。
「ありがと。じゃぁちゃんと明日の朝も迎えに来てよ!」
「はいはい。」
そういっては走っていく。
きっと彼氏のところだろう。
そんな後姿を俺はただ見ていることしかできない。
ねぇ、俺の気持ちには気付いてないの?
ねぇ、俺はこんなにもが好きだよ。
今すぐ走り出して抱きしめたい。
でもそれをしないのも“愛”なんだと言うのは弱虫かな?
(かわいいおよめさんは俺のお嫁さんだと信じきっていた。)
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最近下書きなしで書くことが多くなりました。
あえての相葉さんで書いてみました。
wrote : 2008.6.3
UP : 2008.6.3