おうちを出てから結構な時間がたった。
周りには見たことのない景色。
ここがどこなのか、どっちに行けばいいのかも分からない。
(もしかして・・・・迷子?)
【Wonderful Date】
どうやら道をどこかで間違えたみたいで、見知らぬ住宅街に出てしまった。
しばらくそこを行ったりきたりしてみたりしたけど、この状況が変わるはずもなくただ途方に暮れるしかなかった。
(困ったなぁ・・・。)
ふと後ろをむくと男の人が歩いてくるのが見えた。
僕はこのチャンスを逃すものかと男の人に向かって精一杯吠えた。
「わん!!!!(助けて!!!!)」
「ん?どうしたのー?」
男の人は僕に気がついてよいしょとしゃがんで頭をくしゃっと撫でた。
「わ、わん、わん。(迷子になっちゃったの。)」
「迷子!?」
「くぅん・・・(うん・・・)」
男の人は腕を組んで、うーんっと唸った。
「怒るかなぁ・・・」
そう言ってまたうーんっと唸り、今度はよしっと言って僕をひょいと抱き上げた。
「・・・ちょっと大人しくしててよ。」
「!?」
僕は男の人の上着の中に入れられた。
男の人はそのまま早足でどこかへ歩き出した。
とりあえず僕は言われたとおりに大人しくしていると、10分くらいで男の人は足を止めた。
「!!」
「あ、雅紀。」
体の揺れでぶんぶんと大きく手を振っているのが分かる。
「ごめんごめん。ちょっと途中でいろいろあって・・・」
「・・・雅紀、ちょっと見ない間に随分太ったね。」
「ぇ、ああ、うん、そうなの!!ちょっと食べすぎちゃってさぁ〜!!」
「ふーん・・・。ってそんな訳ないでしょ!!!」
「あっ!!」
突然目の前が明るくなった。
「・・・雅紀、どうしたの、コレ。」
「ここ来る途中で迷子になってて・・・」
「迷子?」
「うん、迷子だって言ってた。」
「誰が?」
「この犬が。」
「・・・可愛そうな雅紀。前から結構きてたけど、とうとう頭がおかしくなっちゃったのね。」
「ちょっと!!ホントだって!!言ってたんだって!!」
「はいはいはい。」
「ホントなのに・・・」
“”と呼ばれている女の人は僕を上着の中から抱き上げた。
「デートに犬拾ってくるなんて前代未聞だよ。」
ま、雅紀らしいけどね。
女の人は僕に語り掛けるように、ねっと首を傾けた。
「、」
「ほら、行こう。」
「へ?」
「この子の家探すんでしょ?」
「・・・いいの?」
「いいの。」
男の人はぱぁーっと向日葵の様に笑った。
そうして僕のおうち探しが始まった。
とりあえず僕たちはひたすら辺りを歩き回った。
駅の周辺、高級住宅街、スパーの裏、マンション、商店街・・・
でも僕のおうちは一向に見つからなくって、とうとうお日様がオレンジ色に染まってきた。
見たことのない場所で迎える夕暮れはなんだか寂しくて、少しだけ涙が出そうになった。
「大丈夫だよ。きっと見つかるから。」
そんな僕を見て女の人は笑顔でよしよしと頭を撫でてくれた。
「わん!!(うん!!)」
その時微かに、でも確かに、嗅ぎ覚えのある匂いが僕の鼻をくすぐった。
僕は走りだした。
「わわん!!(こっちだ!!)」
「えっ?ちょっと・・・!?」
「、追いかけよ!!」
(この匂いは・・・!)
僕は匂いを頼りにひたすら走った。
(隣のおうちのカレーの匂い!!)
僕は見覚えのある景色を捉え、ようやく自分の家を発見した。
後ろを振り返ると、男の人が女の人の手を引いて走ってくる。
2人ともゼェゼェ言って、僕の前にしゃがみ込んだ。
「急に走って・・・ど、どうしたの?!」
「わん!わぉん!!(ここ!僕のおうち!!)」
「ここが、家・・・なの?」
「わん!(うん!)」
「ここって・・・公園?」
「わん!(うん!)」
僕は女の人の膝の上にひょいと乗り、ホッペにちゅっとキスをした。
「わわんわん。(またデートしようね。)」
「あ゛あ゛!!おい!!は俺のだかんな!!!」
「ちょ、雅紀!!急に何言ってんのよ!!」
女の人は僕ににこっと笑い、同じようにホッペにちゅっとキスをして、またよしよしと頭を撫でてくれた。
「あ゛あ゛〜!!駄目だって!!」
僕はぴょんと女の人の膝から飛び降り、おうちに向かって走った。
「わーん!!(ありがとう!!)」
もう振り返らなかったけど、2人とも手を振ってくれてたのが分かった。
今度は2人でデートしようね、ちゃん。
なんちゃって。
***
俺は久しぶりにと外でデートという事で、そりゃもうルンルンで家を飛び出した。
(気がついたらスキップしちゃってたくらい!!)
早くに会いたくて近道しようと住宅街に入ると、そこには小さな犬の背中が。
犬はくるりとこちらに振り返り、大きな声で吠えた。
「わん!!!!(助けて!!!!)」
「ん?どうしたのー?」
俺はその犬の前でしゃがみ、よしよしと頭を撫でた。
(可愛い〜。)
「わ、わん、わん。(迷子になっちゃったの。)」
「迷子!?」
「くぅん・・・(うん・・・)」
いつもなら迷わず助けてあげるんだけど、今日は・・・
(デート・・・)
「怒るかなぁ・・・」
犬なんて連れてたらレストランも映画館も(ましてやホテルなんて!!)入ることなんてできない訳で。
俺は頭を抱えた。
「・・・ちょっと大人しくしててよ。」
「!?」
でもやっぱり見捨てることなんてできなくて、結局上着の中に犬を入れた。
(うん!!完璧☆)
俺は再びルンルン気分でのところへ向かった。
待ち合わせ場所に行くとはすでにそこに立っていて、俺はぶんぶんと音がしそうなくらい手を振った。
「!!」
「あ、雅紀。」
も俺に気がつき、ちょっと照れくさそうに小さく手を振った。
「ごめんごめん。ちょっと途中でいろいろあって・・・」
「・・・雅紀、ちょっと見ない間に随分太ったね。」
「ぇ、ああ、うん、そうなの!!ちょっと食べすぎちゃってさぁ〜!!」
「ふーん・・・。ってそんな訳ないでしょ!!!」
「あっ!!」
完璧だと思っていたのに、やっぱりの目は誤魔化せなかった。
(は俺のこと何でも知ってるからね。
あ、俺だっての事なら何でも知ってるから!!)
は俺の上着を引っ張って中を覗き込んだ。
「・・・雅紀、どうしたの、コレ。」
「ここ来る途中で迷子になってて・・・」
「迷子?」
「うん、迷子だって言ってた。」
「誰が?」
「この犬が。」
「・・・可愛そうな雅紀。前から結構きてたけど、とうとう頭がおかしくなっちゃったのね。」
「ちょっと!!ホントだって!!言ってたんだって!!」
「はいはいはい。」
「ホントなのに・・・」
俺がいじけると、は俺の上着から犬を抱き上げて愛おしそうに笑った。
(あ、可愛い・・・)
「デートに犬拾ってくるなんて前代未聞だよ。」
ねぇーっとは犬に語りかけた。
「、」
「ほら、行こう。」
「へ?」
「この子の家探すんでしょ?」
「・・・いいの?」
「いいの。」
(さっすが!!)
俺はの手をとって歩き出した。
と言っても、何の手がかりもないので当てもなく彷徨っていた訳だけど。
でもこんなデートもたまにはいいかななんて思っちゃったり。
結婚して犬を飼ったらこんな風に一緒に散歩するのかな?
やっぱり子供は沢山いた方がいいよなぁ、なんて考えてたらに何にやけてんの?って不審げに聞かれた。
(顔に出てた?)
そんな風に歩き回っているとあっという間に夕方になっていた。
でも相変わらずこの犬の家なんて影も形もない。
どうするかなぁと思っていた矢先、犬は俺たちのそばを離れて急に走り出した。
「わわん!!(こっちだ!!)」
「えっ?ちょっと・・・!?」
「、追いかけよ!!」
俺はの手を握ったまま犬を追って走り出した。
犬はなかなか止まらなくて、俺に引っ張られてるはヒーヒー言っている。
それでも一生懸命走っているから、俺もがちょっとでも楽になるように一生懸命引っ張った。
でも犬はどんどん小さくなっていく。
もう駄目か、って思った瞬間、犬はピタリと足を止めて嬉しいそうにこちらに振り返った。
ようやく俺たちは尻尾を元気に振っている犬に追いついて、その場にぺしゃりと座り込んだ。
「急に走って・・・ど、どうしたの?!」
「わん!わぉん!!(ここ!僕のおうち!!)」
「ここが、家・・・なの?」
「わん!(うん!)」
「ここって・・・公園?」
「わん!(うん!)」
そこは住宅街の中にある小さな公園だった。
ちゃんと家が見つかって良かったっと一息つくと、犬はちょこちょことの膝の上に乗っかった。
そしてあろうことか、俺ののホッペにちゅっとキスをした。
「わわんわん。(またデートしようね。)」
「あ゛あ゛!!おい!!は俺のだかんな!!!」
「ちょ、雅紀!!急に何言ってんのよ!!」
は赤くなりながら俺を睨んだ。
(あ、照れてる。)
でもすぐに犬の方を向いて、しかもお返しというようにちゅっと犬にキスをした。
「あ゛あ゛〜!!駄目だって!!」
犬は満足そうにひょいとから離れ、公園の中へ走っていった。
(この野郎!!俺のを!!)
「わーん!!(ありがとう!!)」
は犬の後姿に手を大きく振った。
俺もそれに負けじと大きく手を振った。
そして心の中で叫んだ。
(は俺のだからな!!)
俺のを取るんなら、たとえ相手が犬だろうと手加減はしない。
だっては俺の、だよ?
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10000HIT 記念小説第3弾!!!
めちゃめちゃお久しぶりですいません;
相葉さんの独占欲爆発ですw(笑)
wrote : 2007.7.29
UP : 2007.8.3