ボクの目の前を1人の男の人が通り過ぎた。

この町を走り回り生きてきて随分経つけどこんな不思議な感覚は初めてだ。
無意識のうちにボクの足は動きだし、その男の人の背中を追っていた。


これは運命の出会い?




































【Wonderful Back】



































男の人はポケットに手を突っ込みテクテク歩いていく。
ボクも一緒にテクテク歩く。

横断歩道を渡って、右に曲がって小さな橋を渡って、コンビニの前を通り過ぎてまた右に曲がって。
ときどき何もないところでつまづいて。












ようやく男の人が足を止めたと思ったら、そこは可愛らしい庭の付いた家の前だった。
男の人がピンポーンとインターホンを押すと、その家の中からこの家がとてもよく似合っている女の人が出てきた。


「いらっしゃ〜・・・い?!」


女の人はボクを見つけると目を丸くして動きを止めた。


「へ?どうしたの?」


男の人は頭の上にハテナマークをたくさん浮かべている。


「智、足元・・・」
「え?      うわっ!!」


男の人はキョロキョロ周りを見渡してボクを見つけると、跳び上がるように驚いた。


「どうしたの、この犬。」
「え、あ、・・・さぁ?」
「さぁ、って・・・。」


2人はボクをじっと見つめた。
何だか照れくさくなって、クゥンと鳴いた。


「どうしたの?智について来ちゃったの?」


女の人はボクの前に座って首を傾げた。


「ワン!」
「そっかー、ついて来ちゃったのね・・・って何で智はそれに気付かないわけ!?」
「ご、ごめん。」
「智が責任持ってどうにかしてあげてね?」
「・・・はい。」


女の人はちょっと呆れたように溜息交じりで言った。

すると男の人もボクの前に座り、んーっと唸りながら大きな目でこちらをじっと見つめてくる。










「俺んちくるか?」


ヘラリと男の人は微笑んだ。


「ワン!!!」


ボクが大きな声で鳴くと、男の人はよしよしとボクを抱き上げて撫でてくれた。


「智の家で飼えるの?」
「知らない。」
「知らないって・・・」
「まぁ何とかなるでしょ。」
「もぅ、適当なんだから。」


女の人は溜息を吐きながら、でも優しい表情で笑った。


「よし、じゃぁ早速行くか。」


ボクは男の人の腕から降ろされた。


もいこ。」
「うん。」


2人は手を取って歩き出した。
ボクはさっきみたいに、でも今度は2人の背中を追いかけて走りだした。


走りながら、この背中に出会ったのはやっぱり運命だったのかな?なんて思ったり。





―――ボクの未来はこの背中に。















































***







































今日は俺にとって人生で5本の指に入るくらい大事な日で、朝から(もっと前からかも)ずっとそわそわしている。


家を出てからも、それが頭の中をくるくるくるくる回って、思わず何もないところでつまづいた(3回も)。

いつもなら長いと思うの家までの道のりも、今日はやけに短く感じた。
一息吐いてからインターホンを押そうと思ったら、いつもの癖で最後の一歩と同時に押してしまった。

(あ。)

その瞬間頭は真っ白。




はすぐに笑顔で出てきた。


「いらっしゃ〜・・・い?!」


と思ったらは目を丸くして一瞬固まった。


「へ?どうしたの?」
「智、足元・・・」
「え?      うわっ!!」


俺がオロオロしていると、は俺の足元を指差した。
その指の方をゆっくり見ると、フワフワの犬が尻尾を振って俺を見上げていた。


「どうしたの、この犬。」
「え、あ、・・・さぁ?」
「さぁ、って・・・。」


いったいどこからやって来たのか分からない謎の犬を俺たちは呆然と見つめてた。
犬は俺たちの視線を気にしてか、照れくさそうにクゥンと鳴いた。


「どうしたの?智について来ちゃったの?」
「ワン!」
「そっかー、ついて来ちゃったのね・・・って何で智はそれに気付かないわけ!?」
「ご、ごめん。」


俺について来てたなんて全然気付かなかった。
どうやら俺はそうとう緊張していたみたい。





(って、そうだった。
今日は犬に構ってられるほど余裕はないんだ。
・・・でもタイミング逃したなぁ。
今日はもうダメか・・・。
いや、今日を逃したら今度はいつになるか・・・。)






「智が責任持ってどうにかしてあげてね?」
「・・・はい。」


の声で我に返り、俺も犬の前に座り、じっと犬を見つめた。


(どうすっかなぁ・・・)










(・・・・そうだ。)






「俺んちくるか?」
「ワン!!!」


犬は尻尾をめいいっぱい振って返事をした。
俺はよいしょっと犬を抱き上げ、ワシワシと頭を撫でた。


「智の家で飼えるの?」
「知らない。」
「知らないって・・・」
「まぁ何とかなるでしょ。」
「もぅ、適当なんだから。」


はどこか嬉しそうに溜息を吐いて言った。


「よし、じゃぁ早速行くか。」


俺は犬を下に降ろし、左手をの方に差し出した。


もいこ。」
「うん。」


にこっと笑っては右手を俺の左手に重ねた。

の歩調に合わせてゆっくりと歩き出すと、犬も俺たちの背中を嬉しそうについてくる。





















このまま歩いていったら、はきっと“道間違えてない?!”って困った風に聞いてくるんだ。

俺はそれをなだめて、犬がちゃんとついてきてるか確認する。

それで新しい家に着いたら言うんだ。







『3人で一緒に暮らしませんか?』







俺はふっと笑いを漏らした。





























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10000HIT 記念小説第2弾!!!
お待たせしてすいません;
大野さんの口調が分からない・・・;

この話の『Back』というのは『背中』って意味です^^



wrote : 2007.6.13
UP : 2007.6.14