あの約束の日から早27日目。
俺たちはいつものメンバーで朝のHRが始まるのを待っていた。
「あれ?智君は?」
「どうせ今日も遅刻じゃないですか?」
「智君、進級できるのかなぁ。」
チャイムがなると同時に、大きな音を立ててドアが開かれた。
「おっはよ!!!」
「あ、智君おはよー。」
智君は珍しく朝からハイテンションで、スキップするように俺たちのほうにやってきた。
「どうしたの智君?」
「ふふふふふ・・・」
「気持ち悪いですよ。」
「俺、昨日告白した!!」
「えっ!?」
「で、どうだったの?」
智君はゆっくりと両手を頭の上に持っていき、綺麗な丸を作って見せた。
「智君やったじゃん!!!」
「おめでとう!!」
翔君と松潤と智君は3人でキャッキャキャッキャ騒いでいる。
ニノはあと2人になったっていうのに、余裕の表情でゲームボーイを楽しんでいる。
「・・・もしかしてニノ、実は彼女いましたとかはないよね?」
「大丈夫ですって。相葉ちゃんより先に出来ることはないですから。」
「・・・」
チラリとあの3人のほうを見ると、智君が満面の笑みで親指を立てて、頑張れよっとでも言うようにこちらを見ていた。
あと2m。君の手で。
俺はHRなんて完全にそっちのけで考えていた。
告白するか、しないか。
いつかしなくちゃいけないとは思うんだけど、もしかしたら向こうからっていう可能性も・・・無い事はない。
(希望だけどね。)
もうどうしていいかわからない。
「にのぉ〜。」
「なんですか。」
隣の席のニノに助けを求めると、ニノはゲームボーイから目を離すことなく返事をした。
「どうしよう・・・」
「何が?」
「・・・こくはく?」
「何で疑問系なんですか。平仮名だし。」
「だって・・・。」
「素直に言えばいいじゃないですか。あなたの売りは素直で馬鹿なんですから。」
「ニノ、何気に酷い事言ってない?」
「4時間目の体育、さんのクラスと合同でしょ?いい機会だと思いますけどね。」
「何で俺の好きな人知ってんの!?」
「見てたら誰でも解りますよ。」
「(俺ってそんなにわかりやすいのか・・・)」
「まぁ、頑張ってください。」
ニノは一瞬だけこっちを向いて、ニコッと笑った。
「・・・ニノは好きな子に告白しないの?」
「今はね。」
「何で?最後になっちゃうよ?」
「最後じゃないと駄目なんですよ。」
「え?」
ニノはゲームボーイの電源を切ると、机に平伏して寝てしまった。
何回か、何で?と聞いてみたけどピクリとも動かなかった。
それからの授業はまったく頭に入らなくて(あ、いつもの事か。)、ずっと4時間目の事を考えていた。
どうやって告白するか。
なんて言うのか。
さんは女子バスケ部のキャプテンで、俺も男子バスケ部のキャプテンだから自然に話す機会できた。
バスケをしている時には考えられない、おっとりした話し方で、他の女の子に比べたら背は高いはずなのに凄く女の子らしい。
そして何よりも誰よりも一生懸命にバスケをしていたのが印象的だった。
初めは俺も大して意識していなかったんだけど、気がついたら目で追っていて、何か理由を作っては話そうとしている自分がいた。
(さんは俺の事どう思ってる?)
俺はこの気持ちを頭の中でいろいろな言葉に置き換えてみたけど、どれもしっくりくるものはなくて、3時間の授業は大きなチャイムの音ともにあっという間に終わりを告げた。
「どーしよー!!にのぉ!!」
「さっきからうるさい人ですねぇ。」
「だって・・・」
「なる様にしかなりませんから。堂々と相葉雅紀らしく行けばいいでしょ?」
「・・・うん!!」
俺はよしっと気合を入れて教室を出ようとドアの方へ歩いていった。
「相葉ちゃん、今日の体育はバスケらしいですよ。」
ニノは、いいとこ見せてやれよっと見送ってくれた。
(あれ、もしかしてニノサボり??)
運命の4時間目は30分前に、再びなった大きなチャイムとともに始まった。
2クラス合同で体育といっても、男女は別なわけで、さんは隣のコートで楽しそうにバスケをしている。
(チャンスなんてないじゃん。)
俺は今の状況にがっくりと肩を落とした。
何度も隣のコートの様子を伺ったけれど、そんなチャンスはゼロで、無常にも時間だけが過ぎていく。
(くそ〜。)
結局俺は何も出来ないまま終わりの時間がやってきて、みんな先生の前に綺麗に整列した。
(そういえばニノ来なかったな。)
「えーじゃぁバスケ部の奴は片付けよろしく。」
先生はそういうとさっさと礼をして体育館を出ていった。
その後に続いて他の生徒たちもどんどん教室へ帰っていく。
ボールはあちこちに転がったまま。
そして運のいいことに、残ったのは俺とさんだけだった。
(他のバスケ部は休み、もしくはサボり。)
―――コレって最高のチャンスじゃない?
俺はさっきまで何度も頭の中で繰り返したはずの言葉を思い出そうとした。
(・・・)
けど、何も出てこなくて、仕方なく向こうのほうに転がっているボールを取りに行った。
俺は体育館の端までボールをひらいに行くと、ボールを手に取りくるりと向きを変えた。
(駄目だ!!このままじゃ・・・!!)
同時に大きく息を吸い込んで、同じく大きく息を声とともに吐き出した。
「さん!!!」
俺の声は体育館いっぱいに響いた。
「は、はい!?」
さんはビクッと驚いて返事をした。
俺の頭の中は真っ白でどうしたらいいか、何を言ったらいいか、何も判らなかった。
訳のわからないまま、何か言おうとようやく搾り出した言葉に自分でもビックリした。
「ここからあのリングにゴールできたら付き合ってください!!」
俺が指差したリングは俺のいる場所からはとてもじゃないが届くとは思えない。
でも、もう後戻りはできない。
俺はその場でボールを体育館の床にバウンドさた。
その1回1回の音が体育館中に響き渡って、俺の緊張を煽った。
何度かバウンドさせた後、俺は出来る限りの力でボールを空中へ投げた。
ボールはリングのほうへ真っ直ぐ飛んでいく。
しかし、長い間宙を舞ったボールはリングに届くことなく床に着地し、さっきよりも大きな音が体育に響いた。
リングまであと2mほどだった。
あまりに一瞬の事で、俺はどうしていいかわからず、その場に立ち尽くすしかなかった。
するとさんは、無言のままボールのほうへ歩いて行き寂しく床に転がったボールを、ひょいと拾い上げた。
そしてさっきの俺と同じようにボールを何度か床にバウンドさせ始め、さっきのリングへ向けてボールを投げた。
ボールはリングを綺麗に潜り、再び体育館にボールの音が響き渡った。
「ほら、入ったよ。」
さんは満開の笑顔で振り返った。
俺は一瞬何が起きたのか理解できなかったけど、さんの笑顔を見ると、勝手に足はさんへと走り出していた。
「さん!!あの、俺・・・好きです!!」
俺は今日頭の中でシュミレーションした、カッコいい言葉じゃないけど、素直にそう伝えた。
「私も相葉くんが好きです。」
さんの頬はほんのりピンクに染まっている。
俺はそっとさんに手を伸ばした。
2人きりの体育館に、大きな笑顔と大きな幸せがいっぱい。
さぁ、今からは新しいハッピースクールライフ。
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5000HIT 記念小説第4弾!!!
告白の順番のおかしい相葉さん編でした。
なんか話も目茶目茶だぁー。
さてさて、次で完結ですよー。
wrote : 2006.12.29
UP : 2006.12.31