あの日から13日が経とうとしていた。

今日は朝から若干1名、いつもと違う雰囲気の人がいた。


「松潤、今日はえらくご機嫌だね。」
「そう?」


松潤はニヤッと怪しげに笑ってその場を逃げるように去っていった。
(もしかして・・・?)








































俺の予想は当たっていたようで、昼休みにいつものように5人で屋上へ行こうとしたときのこと。


「あ、俺今日から彼女と食べるから。」


松潤はそう言い残して隣のクラスへ消えていった。


「えっ??」
「マジで!?」
「・・・やりますねぇ。」


俺はやっぱりかと思いつつ、松潤の嬉しそうな背中を見送った。
















俺たちは仕方なくいつもの場所へ4人で上がっていった。


「なんか1人居ないだけで大分寂しいねー。」
「・・・うん。」
「まぁあの人、顔も濃いけど存在も濃いから。」
「それ松潤が聞いたら殺されっぞ。」

「1人いなくてコレなのに、最後の1人とかになったら・・・」
「いや、たぶん最後の2人が一番きつくね?」
「男2人きりでご飯・・・(笑)」
「それ一番痛い!!」


相葉ちゃんは楽しそうにひゃっひゃっひゃと笑い、ニノは怪しい笑みを浮かべ、智君はすでにお弁当に夢中だった。
俺は小さくため息を吐いた。


そのままごろんと寝転ぶと、空はいつもと同じ青色で俺たちを偉そうに見下していた。




















































Color of Sky






































松潤に彼女が出来てから6日後の放課後。
俺はいつものように部活に行っていた。


秋といっても体を動かすと汗は体のあちこちを伝って落ちていく。
俺はユニホームの袖で額の汗を拭うと、再びボールを追って走り出した。


































「櫻井先輩、どうぞ。」
「あ、ありがと。」


ちゃんは笑顔で俺にお茶を渡してくれた。
ちょっとだけ手が触れてドキッとしたけど、ちゃんはすぐに他のチームメイトにお茶を配りに行ってしまった。


「・・・はぁ・・・。」




ちゃんは一年年下のマネージャー。
おっとりした性格で優しく、明るい声と笑顔で人懐っこいので、部員のほとんどから想われている。
俺もその1人であって、その1人でしかない。
時々、ちゃんの視線を感じたりするけど、きっと他のチームメイトも感じてるんだろう。


「・・・はぁ。」


俺はもう一度小さくため息を吐いて立ち上がった。













































「あー疲れた。」
「だなぁー。」


俺は部活を終えて、いつもと同じ友達と一緒に学校を出た。


「あ、」
「どーした、櫻井?」
「部室に忘れ物した。」
「あードンマイ。」
「俺、ちょっと取りに帰るわ。」
「気をつけろよー。」
「おぅ。じゃまた明日。」


俺はヒラヒラと手を振って、一人進路を来て方へ戻した。












































部室の前まで行くと、部室にはまだ電気がついていた。
(まだ誰かいる・・・?)


そっとドアを開けると、中ではちゃんがせっせと後片付けをしていた。


ちゃん?」
「きゃっ!!」


後ろから声をかけると、ちゃんはビックリして手に持っていたボールを落とした。


「ご、ごめん!!大丈夫!?」
「あ、櫻井先輩。・・・大丈夫です。」


ちゃんは一瞬強張った表情を見せたけど、俺だとわかると安心したように柔らかく笑った。


「何してんの?」
「ボール拭いてたんです。」
「いっつもやってんの?」
「はい。先輩はどうしたんですか?」
「ちょっと忘れ物しちゃってさ。」


俺は自分の鞄をポイッとベンチに投げ、ボールと雑巾を取った。


「手伝うよ。」
「あ、いいですよ。悪いですから・・・」
「いいのいいの。早くしないと日が暮れちゃうよ?」
「あ、ありがとうございます。」


ちゃんは丁寧にペコッと頭を下げた。



俺たちは2人で隣に座ってひたすらボールを擦った。


「マネージャー楽しい?」
「はい。遣り甲斐ありますし、先輩たちもみんな優しいですし、」
「部長も?」
「あー部長さんはちょっと怖いですけど・・・でもきっと根はいい人なんですよ!!」
「ははは。」


ちゃんが真面目に力説したので思わず笑ってしまった。


「笑うところじゃないですよ。」


ちょっとむっと膨れたけど、すぐにちゃんもあははっと笑った。

































たくさんあったはずのボールも2人で磨くとすぐに終わってしまって、心の中で、もっとゆっくりやれば良かった、と後悔。


「ありがとうございました。櫻井先輩のおかげですぐに終わりました。」
「いえいえ。またいつでも手伝うよ。」




(あ、そうだ。)




ちゃん、1人で帰るの?」
「はい、そうですけど・・・?」
「じゃぁー、・・・一緒に帰ろっか。女の子1人じゃ危ないし。」
「は、はい!」


今、俺の心臓、破裂しそうだった。
一緒に帰ろうって言うだけでこんなにドキドキするなんて、俺もまだまだ青いなぁなんて年寄りくさいことを思ったり。
とりあえず断られなくて良かったと胸を撫で下ろした。






俺はちゃんが用意するのを待って、2人で学校を出た。




































ボールを磨いていたときのように俺たちは仲良く喋りながら歩いた。

・・・でも、周りから見てもカップルには決して見えないだろう。
俺とちゃんの物理的距離がそれを物語る。
もう1歩、もう1歩近づいたら自然に手も繋げそう。


――――この距離は縮まらないのかな。






「「あの、」」


俺たちの声は見事に重なった。


「あ、すいません;先にどうぞ。」
「あ、ちゃんからどうぞ。」
「い、いえ、先輩から・・・」
「いいよいいよ。どうぞ?」


2人で無駄にテンパってしまった。
(俺緊張してんなぁ・・・)
(・・・ちゃんも緊張してくれてる・・・?)



「えーと、あの、  」
「なに?」


ちゃんは言いにくそうに視線を泳がせた。


「あの、櫻井先輩って・・・彼女いるんですか?」
「へ?」
「すいません、変なこと聞きましたよね。気にしないでください!」


ちゃんは慌てて手をバタバタさながら言った。
顔はちょっと赤い。


(そんなに赤くなってるのって・・・?)
(俺、ちょっと期待しちゃうよ?)


「いないよ。」
「あ、そうなんですか?!」


ほっとしたような表情を見せるちゃんに、俺もほっとした。

(俺、今日いけるかも。)


「櫻井先輩はさっき何言おうとしたんですか?」
「んー。ちゃんって彼氏いるの?」
「・・・いないですけど・・・」
「そっか、良かった。」
「え?」


俺はにこっと笑ってその場に立ち止まった。


「・・・先輩?」


1、2歩進んだちゃんがくるりと此方を振り返った。


ちゃん、」


夕日が横から差し込んできて、俺たちは桃色に包まれた。





「好きだよ。」





俺の声が桃色に溶けていき、ちゃんは笑顔を見せてくれた。





「私も大好きです。」





俺はちゃんの横まで進み、そっと手を取り歩き出した。
さっきまでの距離はもう、ない。

ふと空を見上げると、空は彼女の頬と同じ桃色で俺たちを優しく見守っていた。







さぁ、明日からは新しいハッピースクールライフ。




















































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5000HIT 記念小説第2弾!!!
ヘタレじゃない櫻井さんです。(笑)
なかなか長ーいお話になりました。



wrote : 2006.12.10
UP : 2006.12.10