STORM SUMMER!!













































暑い8月の夜。
クーラーで少し寒くなった私は夢を見ながら布団をたぐり寄せ、寝返りをうった。
その瞬間、枕元に置いてあった携帯が軽やかなメロディーを鳴らし、私は飛び起きた。
携帯を開くと、そこにはあのハイテンションな男の名前が。
そして時刻は午前2時。
普通の人々、一般ピープルは寝ている時間。
もちろん私も。


「・・・はい。」
「もしもし、ー??」
「雅紀、あんた時計読める?」
「俺だってそこまで馬鹿じゃないよ!!えっと、今2時3分でしょ??ホラ、読めた!!」
「2時って普通の人は何してると思う?」
「んー・・・寝てる?」
「うん、大正解。じゃ、お休み。」
「あー!!ちょっと待って待って!!じゃすともーめんと!!  あっ、」
「・・・何?」


急に黙り込んでしまったと思ったら、今度は“んふふ”という独特の笑い声が聞こえてきた。


「おはようございます。二宮さんちの和也君ですよー。」
「おはようって時間じゃないよ・・・」


電話の後ろでは雅紀の“返せー!!”という声と、それをなだめる翔と潤の声が聞こえる。


「まぁ、細かいことは気にしないで下さい。」
「気にするよ。」
「じゃぁ今すぐ準備して出てきて下さいね。」
「は?」
「窓の外見て。」


さっぱり状況が掴めなかったけど、とりあえずベット横の窓のカーテンを開けた。

真っ暗な外に一台の車が。
その車のそばには1人の人が立っていて、こっちに大きく手を振っていた。


「さ、智?!」
「じゃ、みんな待ってるんで即行でお願いします。」
「ちょ、訳解んないんだけど!!」


そう言ってはみたものの、すでに電話はツーツーっと虚しい機械音が流れていた。


「どうしよう・・・」


私はベットの上で腕を組んで考えた。


(目覚めっちゃったし・・・)
(まぁ明日休みなんだけど。)
(ってか、何する気なんだろ?)
(そういえば、みんなに会うの久しぶりかも。)


「・・・よしっ!!」


私はベットから立ち上がり、ひとまず洗面所に行って顔を洗った。
そしてタンスから日曜日に買った新しい服を取り出して、出来る限り急いで着替えた。
化粧も軽くして、玄関に脱ぎ捨ててあったサンダルを足に引っ掛けて外へ出た。


ーこっちこっち。」


車が見える所まで来ると、“待ってました”という様に潤がドアを開けて私を中に招き入れた。
こんな時間に起こされたんだから文句のひとつも言ってやろうと思ったけど、ここはひとまず助手席に乗り込んだ。


「おはよ。」
「こんばんは。」


運転席に座っていた翔に皮肉っぽく返事をすると、翔は“可愛くねぇー”っと笑った。
(大きなお世話!!)
後ろの席では4人がものすごいテンションではしゃいでいる。


1人入りましたー!!」
「ありがとーございます!!」
「いただきまーす!!」


(私はドンペリかっ!!!)


私は大きなため息をひとつ吐いて、今回の数多くの疑問を総括して5人に訊ねた。


「なんなの?」
「何が?」


折角たくさんの疑問を総括したのに、伝わらなかった為、また疑問をバラバラにしなくてはならなくなった。
(頭いいんだから察して答えろよ!!)


「まず、どこいくの?」
「それは秘密!!」
「じゃぁ何でこんな時間なの?」
「俺等ちょうどさっき仕事終わったんですよ。」
「何で私を呼ぶ必要があるの?」
「明日はみんなオフだしどっか行こうって事になって、だったら誰か誘ってあげようって思ったわけ。」
「じゃぁ私じゃなくていいじゃん。」
「久しぶりにに会いたかったからにした。」


一番後ろの私から見えないところ(ちょうど私の後ろ)で智が答えた。


「・・・ふーん。」


実はちょっと嬉しかったけど、それを表に出すのは恥ずかしかったから素っ気無く返事をして、シートにボフっともたれ掛かった。






























***



の怒りも収まったところで出発しますか。」
「ゴーゴー!!」


俺たちの少々(いや、かなり?)強引な誘いに、はちょっとムスっと隣に座っている。


、怒ってる?」
「怒ってる。」


そう言って上目遣いで睨んできた。
(めっちゃ可愛いんだけど・・・)


「ご、ごめん。」
「うそうそ。怒ってないよ。どうせ明日休みだし。」


はふふっと笑って“どこいくのかなぁ”とご機嫌の様子。
(よかったよかった。)


「そういえば久しぶりだね。最近忙しいの?」
「おかげさまで。コンサートも順調だよ。」
「最近テレビでもよく見かけるもんね。」
「見てくれてんの?」
「たまにね。」


そんな他愛もない話をしていて、気が付けば後ろのハイテンション4人組は寝息を立てて熟睡モード。


「みんな寝ちゃったね。」
「今日は朝から晩まで仕事だったからなぁ」
「翔、大丈夫?運転代わろううか?」


ふわぁ〜


俺が返事をする前には小さなあくびをした。
本人は隠したみたいだけど、丸見えで、しかも涙目になってる。


の方こそ大丈夫?寝ていいよ?」
「大丈夫だよ!!運転代わるよ。」
「どこいくか分かんない人に運転は代われないね。」
「あ、ホントだ。(笑)」
「まぁ着いたら起こすから、寝てろよ。」
「いいの。1人で運転するのって寂しくない?お供しますよ。」


満面の笑みでそんな事言われたら俺はもうノックアウト。


「ありがと。」


平常心を保とうと横に置いておいた缶コーヒーに手を伸ばし、一口口に含んだ。


「あ、私にも頂戴。」
「へ?」


は俺の手から缶を奪い、美味しそうに飲んだ。


(か、間接キス・・・)
相手がだとこんな些細なことで胸の鼓動が異様に速くなる。
きっとこれが“恋の病”ってヤツなんだ。


「ありがと。」


は缶を元の位置に戻した。
そしてちょうど俺たちの目的地に辿り着いた。


「到着〜!!」
「わぁ!!海だぁ!!」


は子供みたいに外へ飛び出した。
俺は思わず笑顔をこぼした。
(ホント可愛いヤツ。)


俺も後ろの4人を起こし、最後に残りの缶コーヒーを飲み干して外へ出た。



冷たい缶に触れた唇が熱い。






























***



翔君に起こされて初めて自分が寝ていたことに気付いた。
(俺寝ちゃったよ・・・折角といっぱい喋ろうと思ったのに・・・)

車から降りると、そこは真っ暗な海だった。


「海ー!!!」
「相葉ちゃんうるさいですよ。」


思わず叫ぶと、まだ眠たそうなニノに怒られた。


海のほうへ走っていったを追いかけて行くと、は海から少し離れたところに1人で立っていた。


。」
「あ、雅紀。おはよ。」


ニコっと笑ってくれたけど、なんかいつものの笑顔じゃなかった。


、どうかした?」
「何にもないよ?」
「いつもと違う。」
「・・・なんかさ、夜の海って怖いね。真っ暗で入ったら出れなくなっちゃいそう。」


そう言って、少し潤んだ瞳で見つめられた。
(その顔ヤバイって!!!)

俺はの手をとってズカズカと海に近づき、波が足まで来る所まで進んだ。
海水は俺たちの足を捕まえて、放してを繰り返した。


「大丈夫だよ。が海に捕まっちゃったら俺が助けてあげるから!!」


ね?っと言うと、は目を丸くしていたけど、すぐにいつもの笑顔になった。


「ありがと。」


へへへと笑うとふふって笑いが返ってきた。
(俺今、超幸せ!!!)


「えいっ!!」
「わっ!!」


は俺の手を離すと、足首まで浸かる位の所に行き、足元の水を勢いよくかけて来た。


「やったなぁー!!」


俺もの所まで行き、お返しに水をかけた。


「きゃー!!濡れるっ!!」
「ひゃっひゃっひゃ」


2人で水のかけ合いっこ。
(カップルみたい?!)


「お前ら2人で何イッチャついてんだよ。」
「覚悟しとけよ!!」
「相葉ちゃん、集中攻撃!!」

(げっ!!邪魔者!!)


翔君とニノがゆっくりと海に入ってきた。
そして一斉に俺に水をかけてきた。


「ぎゃーー!!ちょっ、ちょっとタンマ!!」
「待てる訳ないじゃないですか。」


降参しようと思ったとき、横で見ていたの声がした。


「雅紀頑張れー!!」


2人に負けないように俺も水をかけ返した。



海水が触れた右手が熱い。






























***



4人は水の掛け合いで盛り上がっている。
俺もみんなに混じろうと砂浜を走った。


「あ、」


俺はその場にしゃがみこんだ。


(綺麗・・・)


俺の足元にはピンクの綺麗な貝殻が落ちていた。
真珠のような独特の輝きを放っている。
俺はその貝殻を拾い上げ、じっと見入っていた。


「智??」
「わっ!!!」


急に後ろから声をかけられ、俺は飛び上がった。


「どうしたの?気分悪いの?」


は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
(顔近いっ!!)


「だ、大丈夫!!」

(あ、そうだ。)

「そう?ならいいんだけど・・・」
、手出して。」
「ん?こう?」


は両手をくっつけて俺の前に出した。
俺はその白い手の中にあのピンクの貝殻を入れた。


「あげる。」
「わぁっ、綺麗ー!!」


は目を貝殻以上に輝かせ、嬉しそうに微笑んだ。


「でしょ?さっきここで見つけたんだ。」
「ありがと。」


向日葵の様なの笑顔に俺もつられて笑った。
そしたらの手が俺の顔に伸びてきた。


「えいっ!!」
「痛っ!!」


は俺の頬を掴んでプニプニと揉んだ。


「気持ちー。」
「いーはーいー!!(いーたーい!!)」


俺がそう言うと“ごめんごめん”と両手をパッと離した。


「智、笑ったらホッペがめっちゃ気持ちよさそうに見えたから。」


悪戯っ子の様に舌を出してへへへっと笑う。
俺は赤くなった頬を両手で押さえた。
抓られたから赤くなった訳じゃないけど、に気付かれたくなくて“痛かった”と言い訳つきで。


「ご、ごめん。そんなに痛かった?」
「・・・えいっ!!」
「いはっ!!(いたっ!!)」


俺はのモチっとした綺麗な頬に手を伸ばし、が俺にしたみたいにプニプニと抓った。
(確かに気持ちいい!!)


「ね?結構痛いでしょ?」
「ふん。へっこーいはいへ。(うん。結構痛いね。)」


俺は弾く様に手を離した。
そして2人で少し見つめあって、あははっと笑いあった。


「よしっ!!智も海入ろ!!」
「うん。」


は3人の方へ走り出した。
俺も後を追おうと走り出した瞬間、がくるりと振り返った。


「貝殻、ありがとね。」


そしてまた前を向いて走っていった。
俺もニヤケそうなのを抑えて走り出した。



潮風に触れる頬が熱い。






























***



6人で水の掛け合いっこをしていたらいつの間にか、みんな足から頭のてっぺんまでびしょびしょになっていた。
俺は時計を見た。
(そろそろだ。)
前もって調べておいた時刻まであと少し。
俺は静かにの肩を叩いた。


「ん?どうしたの?」
「ちょっとこっち来て。」


他の4人に気付かれないように、俺たちはそっと岩陰の後ろを通って海から上がった。
の髪からは水がポタポタと滴り落ち、少し色っぽい。


「どこいくの?」
「んふふ。良い所ですよ。」


ほんの1分も経たないうちに目的地に到着。


「わぁー、すごーい。」


そこは海が一望できる、小さな崖のような所。


「もうすぐもっと良いものが見れますよ。」


俺は“もうすぐ”を待つためにその場に座った。
も俺の左隣にちょこんと座った。
風が優しく吹いて2人を包んだ気がした。


「・・・寒っ。」
「大丈夫ですか?」


全身びしょびしょな上に、痩せているにこの風は少し寒かったみたいだ。


「うん、大丈夫。・・・多分。」
「俺の上着を貸してあげたいところですけど、生憎俺も上着もびしょびしょなんでこれで我慢してください。」


そう言って俺は少し左に寄って、との距離を0にした。
の体温が左腕から伝わってくる。
(俺のドキドキがにバレませんように。)


「ふふふっ。ありがと。」
「どういたしまして。」
「和也あったかーい。」
が冷たいんですよ。」


2人で寄り添い、お互いの体温を感じていたら、待ちに待った時間がやってきた。
(さぁ、ショータイムの始まりですよ。)


「わぁ!!きれー!!」


俺たちがさっきから眺めていた真っ黒な海の向こうからオレンジの光がが一筋、二筋と放射線状に姿を現した。
その太陽の光で海面が宝石のように輝いている。


「綺麗でしょ?気に入った?」
「うん!!すっごく!!」


の瞳にはキラキラの海面が映っていた。
の方が綺麗だと思ったことは秘密。)


「日の出見るのなんてお正月ぶりだよ。」


2人で朝日に照らされた。
(ちょっといいムード?!)


でも下からそれをぶち壊す大声が聞こえてきた。


ー!!」
ーー!!!」
ーーー!!!!」

(俺の事も呼べよっ!!!)

「あ、みんな私達のこと探してるみたいだよ。行こっ!!」


はスッと立ち上がって俺に手を差し伸べた。


「ありがと。」


俺はの手を取って立ち上がった。
そして2人でみんなの声のする方へ歩いていった。



冷たい上着に触れる左腕が熱い。






























***



向こうからとニノが手を振って歩いてきた。


「2人で何やってたんだよ。」
「んふふ。秘密です。」
!!大丈夫??ニノに何かされなかった??」
「大丈夫だよー。」


はあははっと笑った。


「そろそろ帰ろうぜ。人来るといろいろとめんどくせぇし。」
「そうだな。」
「げーのーじんは大変だね。」







俺は運転席に座り、は助手席、残りの4人は後ろの座席に座った。
後ろの4人は騒ぎ疲れたようで、早くも寝息を立て始めた。
は隣でだんだん重くなる瞼と戦っている。


も寝たら?」
「ダメ。起きとくの。」
あんま寝てないでしょ?睡眠不足は肌に悪いよ?」
「潤もあんまり寝てないじゃん。」


睡魔と闘っているはなんだか可愛かった。


「今日は楽しかった?」
「うん。こんな夜中に海で遊んだの初めて。」


は眠気のせいでゆっくりと喋った。
(これじゃぁ寝るのも時間の問題だな。)


俺の予想通り、赤信号で止まり隣を見ると、は気持ちよさそうにスヤスヤ寝ていた。
睫毛は長く、頬に影を作っていた。
綺麗なピンクの唇はほんの少し開いている。
その可愛い寝顔に夢中になっていると、信号はいつの間にか青になっていた。
(早朝じゃなかったらクラクションを大量に浴びるところだった。)


俺は赤信号で止まるたびに隣を見た。
ときどき手を伸ばしたりもしてみた。
サラサラの髪。
モチモチの頬。
綺麗な細い手。
(セクハラじゃねぇぞ!!)


そうこうしていたら、あっという間にの家に着いてしまった。

俺は車から降り、反対側の助手席のドアを開けた。
そしてのシートベルトをゆっくり外し、そっとの背中と足に手を入れて抱き上げた。
(マジ早朝でよかった。)


「軽っ!!」


いわゆる“お姫様抱っこ”ってヤツ。
すると、の頭が甘えるように俺の右肩にコツンと当たった。
(ヤバイって・・・)


俺はそのままを部屋まで運んで、丁寧にベットに寝かせた。


「お休み、お姫様。」


太陽はすっかり昇っている。
俺は野郎達を起こすために再び車へ戻った。



朝日が触れる右肩が熱い。






























***



気がつくと私はベットの中にいた。
とりあえずベットから起き上がってカーテンを開けると太陽の光が差し込んできて、思わず目を瞑った。


「今、何時・・・?」


時間を確認しようと携帯を開いた。


「・・・もう昼じゃん。」


私は寝室から出てリビングへ向かった。
するとそこには大の大人が5人、あらゆるところで眠っていた。

ソファーで毛布をかけて寝ている、潤。
椅子に座り机に寄りかかって寝ている、翔。
壁にもたれて座ったまま寝ている、和也。
部屋の隅で小さくなって寝ている、智。
なぜか机の下で大の字になって寝ている、雅紀。


「・・・ふぅ。」


私は小さくため息を吐いた。
でもこれは悪い意味のため息じゃない。
(どちらかと言えば、笑いに近い??)


私は5人を寝かしたまま、とりあえずお風呂へ向かった。
お風呂に入って、みんなのために美味しい昼ご飯を作ろう。
みんなの大好きな物を作って“ありがとう”って言おう。




まだ休日は半分も残っている。
あと半日は何して過ごす?
みんなと楽しく過ごすことを考えるだけで心は熱い。

































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1000HIT記念アンケートのお礼として送ったお話です。


wrote : 2006.8.8
sent : 2006.8.13
UP : 2007.8.30